代表幹事メッセージ

まちの力の活性化に寄与する「真に必要な担い手」を目指して

まちの力の活性化委員会の役割


まちの力活性化委員会=「まち活」は、早稲田まちづくりシンポジウム2007「都市デザインの力と技」において、一つの分科会の担当を契機に集まった、20代後半から40歳程度までの「住まいまちづくりに関わる若手実務家集団」です。会の人数は50名程度で、一級建築士や再開発プランナーなどの資格を持ち、設計事務所、都市計画コンサルタント、大学研究所、建設会社、自治体、旅人など、さまざまな立場でまちづくりに関わっています。自分たちが担うこれからの時代において、今までの流れでは、まちにも、自分たちにも将来は無いという危機感から、新たな職域として何をすべきかを考えるために集まり、できることから「まち活」の活動を始めています。

現在、「新たに土地を切り開いて開発すること」、「経済原理により非効率な市街地を周囲と関係なく開発すること」、「地域性や提案の質を問わず入札により建物を発注すること」など、いまだ続くこのような業務の内容や業務の発注に対し、多くの人が疑問を感じています。

一方では、シャッター通りとなった地方の商店街、道路整備以外の改善方法が進められていない密集市街地、農地を虫食い状に食い尽くす郊外開発やロードサイドの開発、荒廃が進む過疎の集落、バラバラで調和の取れていないまちなど、これまで通りのやり方では対応できない問題が山積し、今やほとんどの地域で惨憺たる現状が広がっています。この様な状況の中、体制が変わるまで待っているだけでは手後れになるという気持ちは、住まいまちづくりに関わる若手に共通する気持ちだと思います。

「まち活」の目指すことは、住み続けながら豊かに暮らすことを願い、まちづくりに取り組む、地元の住民組織を支援し、持続的なまちづくりを実現することです。そのためには、地域住民が主体的に関わってまちの将来像を描くための支援から始め、都市・建築の空間や空間維持の方法を考え、ひとつひとつ丁寧にまちを守り育てる流れをつくる事が大切です。同時に、協働のまちづくりにより小さなプロジェクトを積み重ね、まちを運営する担い手を育て、社会という匿名の対象ではなく、自分達が守り育てたい具体的なまちに対する投資や事業参画する流れを生み出していく必要があります。

このようなまちづくりの支援を行うには、様々な段階での合意形成の技術、様々な職種を調整し連携を図る技術、トータルな都市デザインを調整し、まとめる技術など、総合的なまちづくりを実現できる人材が必要となります。私たちは、職種を超えた繋がりの中で、情報交換、及び技術の研鑽を図り、研究・実務を通して、まちの力の活性化に寄与する真に必要な担い手としての役割を果たしていきたいと考えています。


今後のビジョン


現在、私たち、「まち活」のメンバーの多くは、密集市街地の再編支援、空洞化した中心市街地の支援、震災復興や事前復興支援、過疎地域の限界集落支援など、様々な地域の支援に大学の地域貢献的アプローチと連携して取り組んでいます。会のメンバーとの勉強会の中で、このブログで取り上げているような実践的取り組みの内容をお互いに紹介し合い、支援の公共性や社会性を確認し、今後、私たちが担っていくべき役割や業務の内容をまとめ、発信していきたいと考えています。

また、総合的なまちづくりの支援をしていくためには、様々な専門家との連携を図っていく必要性があります。コミュニティビジネスの専門家、福祉の専門家、ランドスケープや農業の専門家など、連携の幅は多岐にわたります。会のメンバーの中にもこのような専門家の参加を促し、支援技術や支援のネットワークを構築していきたいと考えています。

そのため、「まち活」では、ブログを立ち上げました。参加者同士だけではなく、活動に共感する人達と広く連携を図ることを推進し、大きな運動にしていきたいと考えています。

近年、多くの地域で、様々なまちづくりに対する動きや可能性が生まれ始めており、国や地方公共団体、公益団体の支援を受け、直接地元のまちづくり組織が専門家に業務を発注するような状況も生まれてきています。このような状況がより広く社会に普及することにより、専門家も育ち、多くの地域が再生していくものと考えられます。

しかし、まちづくりという公共性をもった業務の社会的な受注窓口や支援するための専門家のネットワークは確立されておらず、少数の心ある専門家の情熱によって、まちづくりの成果はこれまで切り開かれてきました。

「まちの力活性化委員会」は、まちづくりという公共性をもった業務の受け皿の一つとして、そして、まちの力の活性化に寄与する真に必要な担い手集団として社会に認知され、影響を与えるような存在を目指し活動していきます。